雇われイラストレーターの奮闘日記

中小企業所属イラストレーター、10年目に突入!イラストを描く仕事に就きたい方、転職したい方に少しでも参考になる情報を発信していきたいと思います☆

「絵には賞味期限がある」1番美味しいときに手放そう

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 「絵には賞味期限がある」

苦しんだ美大の4年間

美大で日本画を学んでいた頃が、恐らく私にとって「絵を描く」ことが1番苦しかった時期かもしれません。

「どうしても自分の絵が好きになれない」

「モチベーションがあがらない」

そんな気持ちで一杯でした。

<( ̄口 ̄||)>

 

なぜ自分の絵が好きになれないのか?

ハッキリとした理由は分かりませんが、

恐らく、今の目の前の作品が「良くない」ことだけは直感で分かっていたんだと思います。

 

でもどうしたら良いのか分からず、いつも頭の中はグルグル。

焦る。焦るけれど、いざ筆をとって描こうとすると手が止まる。その繰り返し。

夜も作品のことが気になって頭から離れない。。

 

あんなに頑張って美大に入ったのは何のためだったのか。

 

いつもそんなことを考えていました。

でも大学には「単位」があるので、課題は仕上げなければいけません。

とにかくもがいた4年間でした。

 

美大時代は、自分で納得のいく作品は恐らく1点も描けていません。

「描けた!」という、高校でいつも感じていた達成感を味わうことは全く出来ず。

ひたすら頭打ちをしていた4年間。

自分の絵はダメなんだと、挫折感でいっぱいでした。

 

けれど、私はそこで恩師に出会うことが出来ました。

 

今も大切にしている恩師の言葉

 

大学の日本画の先生は、皆さん現役の日本画家の方ばかりです。

もう雲の上の存在ですね(;^_^A

 

その時も、課題が上手く進まずに1人で残って作品を描いていた時だと思います。先生がたまたま教室に入ってきて、声をかけて下さいました。

その先生は、数いる先生方の中でも画壇では特に有名な先生。

緊張しつつも、今の作品の講評をしていただけることになりました。

 

ジーっと私の作品を先生が見て一言。

 

「うん、鮮度が足りないね。」

 

作品の鮮度の大切さ。絵には賞味期限がある。

 

先生<「シロキさん、絵には賞味期限があるんだよ。

描いて描いて、描き進めていくうちに、どんどん絵は熟してくる。

その1番良い感じに熟した、美味しい時に、ぱっと手放してあげる。

そうすると、鮮度の高い絵が出来上がる。

 

シロキさんのこの作品はね、その美味しい時を過ぎてしまっている。

鮮度が落ちてきている。」

 

先生の口調はとても優しく、穏やかでした。

その言葉を聞いた時、私が自分の絵が好きになれない理由を、見事に言い当てられたような気がしました。

 

情熱と執着心は紙一重

 私が自分の絵を好きになれなかったのは、その絵が自分の執着心の塊に見えたからです。

「もっと良い作品にしたい。」

その気持ち自体は良いのですが、

そこに軽やかさがないと、だんだんと執着心に変わってしまいます。

熟していても、「もっとこうすると良くなるのでは」と描きつづけて、作品の鮮度が落ちていることにも気づかず、腐らせてしまっていました。

 

 

先生の仰った「鮮度の高い作品」を自分で「描くことが出来た」と感じたのは、仕事を始めて8年ほどしてからです。

初めて、自分の作品を好きだと感じたからです。

 

それ以外では、美大時代の「裸婦クロッキー」。

「作品」とは異なりますが。

決められた短い時間で手早く形を捉える必要があるため、自分の執着心が入る余地がなかったんですね(;^_^A

今考えると、自分のクロッキーだけは好きでした。

そこに大きなヒントがあったのに、当時は全く気づくことはありませんでした。

 

 

「良い作品を作りたい」という情熱と、執着心は紙一重だと思っています。

 

「1番美味しい時に、ぱっと手放す」

 

今もずっと心に留めている言葉です。