参照元:2013年度 新聞広告クリエーティブコンテスト
もう6年前になりますが、記憶に残っている方も多いかもしれません。
こちらの広告は、2013年に日本新聞協会広告委員会が実施した「新聞広告クリエーティブコンテスト」で最優秀賞を受賞した作品です。
桃太郎に父親を殺された鬼の子どもを描き、「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」のコピー。
下には小さく、「一方的な『めでたし、めでたし』を、生まないために。広げよう、あなたがみている世界。」とあります。
少し前に、こちらの広告を見る機会があり、改めて振り返ってみたいと思います。
「反対の立場に立ってみたら」の衝撃
急に違和感を覚えた「めでたし、めでたし」
この広告を初めて目にしたときの衝撃は今でもよく覚えています。泣いている鬼の子どものイラストにまず目がいき、中央のコピーを読んで、とてもショックを受けました。
「桃太郎」のお話は、小さい頃から何度も触れる機会がありましたが、私は、最後の「めでたし、めでたし」に何も違和感を持っていませんでした。
「桃太郎に退治された鬼の立場に立って考えたことがない」自分に気づました。
読み手の自分は、桃太郎の視点でのみ物語を読んでいました。
桃太郎が私にとっての「正義」になっていて、その桃太郎の敵である鬼は間違っている倒すべき相手。
でも鬼の視点で読むと、鬼には鬼の生活があり、家族があり、鬼の集落をみんなで守っている 。親子間の絆も愛も、もちろんあるはずで。。
一方の立場からしか見れていなかった自分が怖くなりました。
反対の立場に立ってみたら・・そう考えると、広告の鬼の子どもの泣いている姿が浮かびました。
その時に、「今、『桃太郎』の絵本を読んだときに、私は『めでたし、めでたし』と言えるのだろうか・・」と思いました。
自分が見ている世界は広い?
生きていると、必ず誰かと関わって、繋がって生活しています。
プライベートでは、家族で助け合ったり、友人と励ましあったり。
また、仕事となれば、多くの人と協力して、話し合いをして進めることも多々あります。
自分が嬉しいと感じることが、誰かにとってはそうでないかもしれません。
自分が怒りを感じることが、誰かにとっては軽く受け流せることかもしれません。
自分が気楽に感じることで、誰かはプレッシャーで押しつぶされそうになっているかもしれません。
「もし相手の立場だったら」
さまざまな視点を持って、自分の世界をもっと広げていく必要があると、改めて背筋が伸びる思いがしました。